親子カフェ

先日、私達の行なっているソーシャルプロジェクトのうちの1つが、ジャパンタイムズ(the japan times)という英語で書かれている新聞の記事に取り上げられました。 インターネットからも同じ記事が読めますので、以下のリンクから読んでみてください。 こちらに載せています日本語訳は、私達のメンバーの彩さん、そしてお友達のリッキーさんに訳していただきました。

▼日本語訳

~私達の日常~ただ一言の「元気?」がストレスを抱えた親たちのライフラインになるということ

ジェフ・モリスは生後1か月の女の子の赤ちゃんを片方の腕に抱えながら、フロアマットの上で動き回る幼児たちの動きを注意深く見守っています。同じ部屋の片隅には、何人かの若いお母さんたちがフロアに座り、寄り添い話をしています。

そこはよくある普通の教室のようで、机、コンピューター、そして、知育玩具やおもちゃが備わっていました。

さて、次に、ここでは日本の社会では実質のところタブーであるとされている、メンタルヘルスについての話題がなされました。

“お元気ですか?”と、モリスさんはその中にいた女性に尋ね、会話を始めました。

ここで若いお母さんたちは、日頃、絶え間なく我が子から話を聞いてと求められることから解放され、少しの間自分自身の時間を持つことができます。彼女たちにとって、日ごろの育児のストレス、不安、気持ちなどについてオープンにすることができる時間となっているのです。

41歳のモリスさんは、13年前にイギリス政府で働いていた際に日本に移り、日本文化と後に妻となった女性の千賀子さんの両方に恋をしました。

しかし、モリスさんは日本の文化の中、特にストレス下にある子育て中の親としては、心のつながりを作ることが難しいことに気付きました。そこで、彼の第二の故郷となる大阪で、自らメンタルヘルスケアのネットワークを創ることにしました。

彼の最も大事にしている使命は、社会経済状況から孤立しているシングルマザーたちをつなぐことだと言います。この教室は、語学レッスンを提供するNatural English英会話教室(ナチュラル イングリッシュ英会話教室)の拠点でもあります。一つ下の階には、色々な家族が交流ができるように2年前にオープンした、OYAKOカフェです。昨今のパンデミックのため、カフェは数ヶ月間閉鎖されていましたが、支援や交流を求める人々の為に、教室は開いたままです。

「日本人は感情に対してそれほどオープンではない傾向があります。これが、日本が非常に高い自殺率を持っている理由の1つかもしれません」と、6年前に親友を自殺で亡くしたモリスさんは言います。

友達との交流は、うつ病と闘うための最も簡単な方法の1つであると彼は信じていますが、最も近い友達以外の人に、メンタルヘルスについて話すことは恥ずかしいことと考えられていることが、本当の問題であることに気が付きました。

モリスさんは、「元気ですか?調子はどう?」というシンプルな質問をすることで、心を開いていくきっかけを作っています。

昨今の状況下で、女性たちの多くは困難を抱えていることが多いと言います。コロナウイルスの危機は、彼女たちの精神状態に打撃を与えています:仕事を失ったシングルマザーもいますし、家庭内暴力やネグレクトなどの悲惨な話もあります。そして彼女たちは、悩みやそんな困難な状況を聞いてくれる友達という存在から孤立してしまっています。

「ここに居るのは自分の気持ちを語れる人々ですが、自分の気持ちを語れない人々は、一体どんな気持ちでいると思いますか?」と、モリスさんは問いかけます。

このグループに参加したあるお母さんは、モリスさんが「大丈夫?」と1日に何百回も尋ねてくると冗談を言っていました。

「誰かを助けることは私たちの道徳的な義務です」とモリスさんは言います。 「私はもっと誰かを助けたいと望んでいるだけです。」

関西を拠点とする心理療法士のリル・ウィルズは、パンデミックの最中は、家族は家に閉じ込められる事で「簡単な事で疲れたり、イライラしたり、ストレスを感じるようになり、まさしくトラブルの発火点になりえます」と警告をしています。

OYAKOカフェで、モリスさんは来てくれた家族たちを、必要に応じて医療やカウンセリングを提供している小児科看護師の、髙久渚月へと繋いでいます。

彼女は、「親御さんたちも自分自身のための時間が必要ですが、自宅勤務ではそれも得られません。」と言います。 「そんな環境では、親は仕事をすることができませんし、さらにストレスを感じるようになります。」

そして、在宅ワークができる親や、仕事がある親は、まだ幸運であるということです。パンデミックは失業者が日本全国で100万人に達し、ジェフは大阪の多くの家族が貧困線以下に住んでいると推定しています。

彼のカフェは、空腹の家族を養う事に努めていますが、定員オーバーになっていて、様々な物資が不足しつつあります。

「次に何が起こるか考えられますか?『本当に食べる物が一切ない』と私たちを頼りにして人々が訪ねてくるでしょう」とジェフは言います。 「以前であれば、スーパーに行き、彼らに必要なものを全て買ってあげられましたが、今はそれもできません。資金が底を着いたからです。」

日本文化はゲストへのおもてなしで知られていますが、チャリティー活動については、一般的にあまり関心は高くありません。募金活動のソーシャルイベントを開催できず、モリスさんの資金源は絶たれてしまいました。

現時点では、コストがかからないインターネットを介して、モリスさんは孤立している人たちを繋げ続けています。彼と髙久さんは、人との交流が薄くなっている親御さんたちのために、チャットを介したカウンセリングセッションを計画しています。彼はまた、関西に住んでいる7,000人を超えるメンバーのFacebookグループを運営しています。メンバーは、通常の対面イベントを計画することはできませんが、代わりに、チャットやビデオ通話を通して、「元気?調子はどう?」と話し合えるような相手を、投稿を通して探すことができます。

教室に戻ると、モリスさんは彼の赤ちゃんを妻に預け、来てくれた親御さんたちに、飲み物があるかを聞きながら、彼らの「調子はどう?」の答えを待っているのでした。

https://www.japantimes.co.jp/community/2020/08/24/our-lives/mental-health-japan-stress-parents/